蒸しパンや肉まん、
つるんとした茶碗蒸し、
旨味のじゅわっと詰まった蒸し野菜・・・
せいろで温めると、それはそれは至福のお味。
ふだんは電子レンジでパパっと温めちゃう!という方も、いちど使うと手放せなくなります。
「せいろ、使ってみようかな」
と、気になっていても、選び方がよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
- サイズは?
- 素材は?
- 値段は?
横浜中華街にある有名店・照宝で、せいろの選び方を教えてもらってきました!
せいろの種類の選び方
まずは、せいろの種類を選びます。
ここでは簡単に特徴をご紹介しますが、特別な理由がない限りは「中華せいろ」のほうを選ぶことをおすすめします。
サイズや、素材の選び方について知りたい方は、読み飛ばしてこちらをどうぞ。
和せいろと中華せいろの違い
せいろには2種類あります。和せいろと中華せいろです。
和せいろと中華せいろの大きな違いは、蓋。
和せいろのフタは分厚い木でできていて、
中華せいろは、フタが網目になっています。
使いやすく、一般的なのは中華せいろのほうです。「中華」という呼び名ですが、和食にもお菓子作りにも使えます。
和せいろの特徴
和せいろは、重くて厚みのある木蓋で、蒸気を逃しにくいのが特徴。
メリット
- 中華せいろより短時間で蒸すことができる
- 深さがある
デメリット
- 蓋の内側に水滴がつく(蓋にふきんを巻いて食材に水滴がたれないようにする)
- 蒸気が逃げにくいため、長く火にかけると食材を蒸しすぎてしまう
中華せいろの特徴
中華せいろは、蓋が網目になっていて、余計な蒸気が逃げやすいのが特徴
メリット
- 蓋の内側に水滴がつきにくく、食材に水滴がたれたりベチャベチャにならない
- 長く蒸しても、食材を蒸しすぎない
デメリット
- とくに無し
中華せいろのほうが使いやすい
特徴を見てわかるとおり、扱いやすいのは中華せいろ。
中華せいろだから和食に向かないということは一切ありません。例えば、中華せいろで茶碗蒸しも作れます。なんと、和食屋さんでもか中華せいろを使っているところも多いんだそうです。
私も中華せいろを選びました
せいろ生活を楽しんでいる方のほとんどが、中華せいろを使っています。
でも私は、日本伝統のものが好きで、しかも本格的な中華料理をすることは少ないし、なんとなく「和せいろかな」と考えていました。
でも、中華せいろの使いやすさを知ってしまい、中華せいろに即決!
とくに、「長時間でも、蒸しすぎない」というところにグっと惹かれました。他の料理も同時進行しているとき、レシピの蒸し時間を過ぎてもベチャベチャにならない中華せいろ、素敵すぎます。
ということで、特別な理由がある方以外は、中華せいろをどうぞ。
せいろのサイズの選び方
さて、とにかく迷うのが、せいろのサイズ。
せいろのサイズは、ご家族の人數や作りたい料理をイメージしながら、直径と高さに注意して選びます。
次のチェックポイントに答えながら、サイズを考えてみるとわかりやすいでしょう。
せいろの直径の選び方
- どんな大きさの食材を何個並べる?
肉まんの数とせいろの直径の目安
1〜2個:せいろ18cm
※1個ならゆったり、2個だとぎゅうぎゅう。以下同
2〜3個:せいろ21cm
3〜4個:せいろ24cm
4〜5個:せいろ27cm
(中村屋、井村屋などの一般的なサイズ)
ちなみに、中華街などで買ってきた大きな肉まんの場合、18cmに1個が限界です。
- お皿まるごと蒸したい?
お皿に乗せた食材をそのまま蒸したい方は、お皿のサイズをチェック。せいろのサイズは外径で表記されているので、内径のサイズを確認しましょう。
内径とお皿がぴったりすぎるサイズは、取り出しにくく、蒸気もうまく回らないためあまりおすすめしません。お皿よりひとまわり大きいサイズがおすすめです。
- 1段にする?2段で使う?
蒸したい食材をすべて1段に乗せるのか、同じサイズを重ねて2段に分けるのかによってもサイズが変わります。
火の通りが異なる食材は、2段に分けておくと順番に火からおろせるので便利。
見た目の好みも大切ですね。(私は2段が気に入っています。)
こちらもチェック!
- 手持ちの鍋の大きさは?
せいろを置く鍋の大きさも確認しましょう。
専用の鍋と一緒に買うと間違いなくピッタリはまります。
お手持ちの鍋やフライパンを使うなら、それに乗るサイズのせいろを。鍋のサイズが違っても、蒸し板という道具を使って、サイズを調整することもできます。
- 収納する棚の大きさは大丈夫?
収納場所のことも頭に入れておくと良いですね。せいろのサイズが大きすぎると、収納に困るかもしれません。
カビなどを防ぐためにも、引き出しよりもオープンな棚に置いておくのがおすすめ。
- いつか買い足すかもしれないサイズは?
せいろを使ってみると、もっと大きなサイズ、もっと小さめのサイズが欲しくなって買い足したくなってきます。
いつか買い足すかもしれないという方は、同じようなサイズではなく、メリハリをつけてサイズ選びをすることをおすすめします。目安としては、5cm以上違うサイズが使いやすいでしょう。
プロに聞いた!おすすめのせいろのサイズ
横浜中華街・照宝のお店の方に、家庭用におすすめのサイズをうかがいました。
プロいわく、
「1段で何でもこなせるサイズは、27cm。27cmが大きいと感じたら、24cmがおすすめ」
とのことです。
もともとは27cmが一般的なサイズだったようですよ。
照宝で教えてもらったことをふまえて、せいろのサイズの目安はこちら。
せいろのサイズの目安
- 30cm:大きめ。料理教室などで使われるサイズ
- 27cm:お皿も入る一般的なサイズですが、大きいと感じる人も。(個人的には大きめと感じます)
- 24cm:少しだけ小ぶりで、扱いやすいサイズ。小さめのお皿なら入る。3人前が目安。
- 21cm:大きすぎず、小さすぎず。2人前が目安。
- 18cm:小さめ。1段で1人前サイズ。
- 15cm:かなり小さめ。小籠包が2つ並ぶくらいの、中華点心サイズ
せいろの高さ・深さ
忘れてはいけないのが、せいろ1段分の高さ。茶碗蒸しなど高さのある食材を蒸すときは、蓋が閉まらないことがあります。
そんなときは、どうすれば良いかと言うと・・・
台輪を使う
せいろの高さが足りないときに、本体と蓋のあいだに挟んで使う台輪というものがあります。横から見るとせいろ本体と同じ見た目なのですが、底が抜けていて輪っかの形をしています。ちゃわん蒸しなど背の高いものを蒸す予定がある場合は、ひとつあると便利。
ひっくり返して重ねる方法も
せいろの高さが足りないときの裏ワザが、上に乗せる2段目のせいろをひっくり返して、上下逆に重ねる方法。せいろの中の空間が高くとれます。さらに、その上に蓋を乗せます。
どのメーカーでもできるかは未確認ですが、照宝のせいろはこの裏ワザが使えます。
せいろの素材の選び方
せいろの主な素材は、杉・竹・檜(ひのき)の3つ。
一般的に、杉、竹、檜の順番でお値段が高くなります。
どの素材を選んでも蒸す機能はほぼ同じですが、耐久性や香りが変わってきます。
せいろの素材の特徴
せいろの素材の特徴
- 杉のせいろ:お手頃価格。耐久性はあまり高くない。蒸すと木の香りがする
- 竹のせいろ:値段・耐久性のバランスが良い。香りが少ないので、食材に匂いがつきにくい
- 白木のせいろ:竹と同じく、香りが少ない
- 檜のせいろ:枠に厚みがあり耐久性が高いが、お値段も高い。香りが強い。
価格が安いのは、杉のせいろ
杉の素材で、さらにサイズが小さめのせいろなら、とってもお手軽にせいろが楽しめます。
例えば、「まずは小さいせいろでちょこっと楽しんでみたい」という方なら、杉の安いせいろから試してみても良いですね。
耐久性が高いのは、ひのき
「少し高くても、良いものを長く使いたい」という方は、檜のせいろを選ぶのも素敵。修理もしてくれるメーカーなら、安心して長く使えます。
香りの強さの違いは、お好みで
木の香りをほんのり楽しみたいなら杉、たっぷり楽しみたいならヒノキのせいろがおすすめ。
反対に、蒸した食材に香りをつけたくないなら、竹か白木のせいろを選ぶと良いでしょう。
はじめてのせいろなら、杉か竹がおすすめ
「はじめてのせいろ選びで、これから色々使ってみたい」という方は、杉か竹のせいろがおすすめです。
杉や竹のせいろは香りも強すぎず、比較的お手頃な価格帯なので、はじめての方も使いやすい素材です。
色んなメーカーから、杉や竹のせいろが出ているので、好みのものが見つけやすいでしょう。
せいろを乗せる鍋・フライパンの選び方
せいろが鍋(または深めのフライパン)の上にピタッと乗る。そんな組み合わせが理想です。
どちらかが大きすぎても、小さすぎてもいけません。せいろ全体に蒸気がうまく回らなかったり、はみ出た火でせいろが焦げてしまったりします。
手持ちの鍋を使う方法
ご家庭の鍋にせいろを乗せて使うこともできますが、問題になるのが鍋の直径と形です。
ただし、偶然ぴったりハマることはあまり無いと考えて良いでしょう。
- 鍋を横から見てみる
まずは、お手持ちの鍋の形をチェック。鍋を横から見たときに、取っ手が鍋の上に出っ張っていませんか?
せいろを鍋の上に乗せるとき、鍋の取っ手が邪魔でうまく乗らないということがよくあります。
鍋の上面が平らなものを使いましょう。
- 蒸し板を使う
鍋とせいろのサイズの違いを解決するのが「蒸し板」。
お手持ちの鍋とせいろの間に、蒸し板をはさんでサイズを調整することができます。
蒸し板を使うときも、取っ手が邪魔にならない鍋を選ぶ必要があります。
蒸し板とは?
真ん中に蒸気を通す大きめの穴が空いている、金属の板です。鍋に蒸し板を乗せて、その上にせいろを乗せます。鍋が小さすぎたり、大きすぎても、蒸し板を間に挟むことでせいろを使えるようになりますよ。
ご家庭の鍋でせいろを使うなら、1枚持っておきたい道具です。
せいろと鍋をセットで買う
鍋とセットになったせいろも販売されています。
蒸し板を使う必要もなく便利ですが、せいろで蒸すためだけにその鍋を使うなら、ちょっともったいないかもしれません。
すでに同じようなサイズの鍋を持っていたり、収納場所に余裕がない方は、鍋セットよりも蒸し板とお手持ちの鍋を使うことをおすすめします。
メニュー別!せいろの選び方のヒント
蒸したい食材や、作りたい料理が決まっているなら、それにあったせいろを選びます。
これ!という特定の料理が無いなら、少し大きめで何にでも使えるサイズを選ぶのがおすすめ。
茶碗蒸しにおすすめのせいろ
一度に並べる数にもよりますが、直径24cmほどのせいろがおすすめ。茶碗蒸しが一度に4〜5つ蒸せます。高さが足りないことがあるので、高さを出せる台輪があると安心ですが、2段目のせいろをひっくり返して使うという裏技もあります。
飲茶・点心におすすめのせいろ
飲茶気分を楽しむなら、小さめのサイズのせいろを重ねて使います。小籠包が2つ並ぶのが15cm。4個並べるなら18cmがおすすめ。
肉まん・豚まんにおすすめのせいろ
1段で蒸すなら、並べる数に合わせた大きさを。18cmくらいの小さめのせいろなら、1段につき1個乗せて2〜3段重ねて蒸します。
蒸しパンにおすすめのせいろ
蒸しパンなど、お菓子作りには少し大きめのサイズがおすすめ。24〜27cmが目安。一度にたくさん蒸すことができて便利です。食材に木の香りをつけたくないなら、竹か白木の素材がおすすめ。
せいろが買える場所
せいろは、こだわらなければホームセンターなどでも売っていますが、やっぱりちゃんと選ぶなら調理器具の専門店や大手メーカーがおすすめ。
実店舗なら、東京のかっぱ橋、横浜中華街の照宝などがあります。お近くに行く機会があれば直接見てみると良いでしょう。
ただし実店舗だと持ち帰るのもかさばりますし、まずはネットで探してみることをおすすめします。
タイミングによっては定価よりもかなり安く販売されているものもありますよ。
有名なメーカー・ブランドのせいろ
せいろで有名なメーカー、ブランドはこちら。
パール金属の中華せいろ
コスパが良く、気軽に使いやすいのが、パール金属の中華せいろ。
サイズも15・18・21・24・27cmと豊富なので、蒸し料理、蒸しパンなど何にでも使えます。
とくにアマゾンでは定価よりもかなり安く販売されていて、ベストセラーとなっています。
かごや
ひとつひとつ手づくりなのに比較的お安い価格で、ネットでも人気の高いかごやのせいろ。
IH対応のステンレス製鍋とのセットもあります。
照宝の中華せいろ
「照宝」の焼印が入った中華せいろ。品質が良いのに、価格が良心的な杉の素材から、高級なヒノキの素材まであります。
横浜中華街に行くことがあればぜひ立ち寄りたいお店ですが、ネットでも購入できます。
山一のせいろ
国産ひのきを使った、しっかりしたせいろ。その分、お値段はお高めです。
せいろ選びに迷ったら
せいろの選び方をご紹介しました。
せいろの素材やサイズは、どれを選べば良いのか悩んでしまいがちです。
迷ったら、まずは少し小さめで、お手頃価格のものから試してみてみも良いですね。そして使い心地がわかってから、もう少し大きいもの、違う素材のせいろを増やしていくのも一つの手です。私は18cmの2段からはじめました。
せいろで蒸しあがった肉まん、野菜、プリン・・・
もっと早く手に入れておけばよかった!という方はとても多いです。ずっと迷っているよりも、まずはご自身でほっかほかのせいろ生活を体験してみてくださいね。